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建設業の総務・経理に携わって、数十年… ”脱どんぶり勘定”を目指す経営者様の補佐役として事業で邁進中。日々の出来事や思いを綴ります。
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本日は少し専門的な建設業の収益計上時の基準のお話です。

新しいお客様で3月決算の会社様のお話です。ゼネコンから専門工事の下請としてお仕事をされています。

決算の打合せ時に税理士さんから、今期から従来の進行基準から完成基準に変更で宜しいですね?
と社長に確認の言葉があった。

建設業の収益計上の基準は工事完成基準と工事進行基準があります。

工事完成基準は工事による完成引き渡し時に完成工事高として収益が計上されます。完成するまでは未成工事として入金した金額は未成工事受入金として前受金と同じように負債となります。
又支出した金額は未成工事支出金として仕掛として棚卸資産に計上されます。

この先生の言われた言葉の工事進行基準とは、工事の進行度合いにより進捗率によって収益計上される形です。

又工事期間が1年以上請負金額が10億円以上の大型工事については工事進行基準の適用を受けます。

進行基準の言葉に食い付く訳ではありませんが、この会社の売上計上のタイミングは元請先に請求書を発行した時が売上(完成工事高)の計上となっていました。

従って工事が終了していても元請から注文書や指定請求書等が未着の場合は売上にならず、契約されている工事の出来高の請求も請求書の発行時に売上計上となります。

つまり進行基準ではなく、請求書の発行時基準で建設業以外の業種の売上基準で決算が行われていたのです。

だから今期の工事別の収益を見ると決算終了後の4月から6月の粗利益率が異常に高くなりました。

これは本来の工事原価の管理が出来ていれば、未成工事支出金として計上すべき原価が前期の原価に計上されて、今期の売上高に見合う原価は既に前期計上済と言わざるをえません。
税務署的にみれば、前期の期ズレとして前期の完成工事原価が過大計上されていたと言われる可能性があります。

従って本来の工事進行基準で決算を実施しようとすれば、工事毎の進捗の確認及び工事に付随する原価が正しく把握する必要があります。(完成基準より難しいと思います)

いずれにしても正しい経営状況を把握する為には工事1件毎の請求管理や原価管理が必要です。

多くの中小建設業ではこのお客様のような問題を抱えたまま決算を実施している現実があります。

儲かる中小建設業には絶対必要な経理の仕組みです。出来ていない会社は是非ご相談下さい。






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最近お客様の税務調査で多く問題になっている事は、決算時に工事は終わっていても売上の計上が遅れて翌期の売上に計上される事です。

通常の仕事ですと納品やサービスの提供時が売上の計上になる訳です。

建設業の場合には、請負工事が完成した時点が売上計上になる訳です。(大型工事等の例外は除く)
これを完成基準と言います。

従って契約金や中間で入金がある場合には、未成工事受入金として完成する迄の入金分は前受金として流動負債の勘定科目で処理され、売上では無い扱いとなります。

専門工事の会社さんで問題になるのは、小工事等で工事は完成していても元請との間で請求金額が確定せずに請求書の発行が出来ない為、決算時に売上の計上から漏れてしまうケースです。

例えば3月決算の会社で工事は3月に終わっていても、請求月は6月(入金は7月)になる場合等決算申告は終了している為翌期の売上に廻される場合です。

他の業種では考えられない事ですが、契約書等が無い小工事にはよく起きる事です。

もう一つ同様の事が見られます。

リフォーム工事等で営業マンや現場監督さんが仕事を終了してもお客様に対して請求書の発行が遅い事です。これは請求忘れの原因にもなりますので、注意と意識改善が必要です。

忙しい監督さんは、請求業務の手配が遅れがちです。又契約が無いので、その仕事の情報は個人の頭の中に保存されていて、事務方は分りません。どんどん未請求工事が増えていき、決算が終了しても請求していない状態で税務調査等で売上計上漏れが指摘されます。

いずれにしても、どんぶり勘定を止めて一つ一つの工事の原価管理と一つ一つの工事の請求管理や入金管理が必要です。

中小建設業が儲かる会社に変身する為の重要なステップです。
建設業特有の勘定科目に、未成工事支出金があります。

違う業種の方には馴染みがない言葉ですが、未成工事とは現在工事が完成していない仕掛工事の事です。従って未成工事支出金は棚卸資産に属してお客様に引き渡していない工事の途中までの支出金の合計です。

未成工事支出金の金額の把握が当期の利益を大きく左右する、全体の粗利益に影響を与える為把握が重要です。

本日は卒業されたお客様から決算終了後の次の月の粗利益が会計上の粗利益と原価プロで管理している粗利益が合わなくなったと連絡を頂きました。

調査した結果、決算時に税理士さんが未成工事支出金に消費税を加算された会計処理の為だと分りました。

本来の未成工事支出金の外注費や材料費等は仕入れした時に消費税の控除が出来ますが、この会社の税理士さんは勘違いがあったのか、未成工事支出金に消費税が加算されていました。

勿論先に消費税を控除するか、完成後控除するかの違いですが、今期に限れば、消費税を加算した金額が仮払い消費税から引かれるので、納付する消費税額が増え、同じ金額が利益が多く計上された事になります。

例外が二つ有ります。一つは例えば屋根工事で100万の下請さんとの契約があり、決算時迄に50万出来高で支払、決算後に残りの工事が完成して残金50万支払った場合には、出来高で支払った50万に対する消費税4万円は決算時控除する事が出来ません。

もう一つは決算の売上計上が完成基準で実施せず、10億円以上の契約で工期が1年以上の工事については、工事進行基準で売上を計上する場合があります。この工事に対応する未成工事支出金の消費税は完成時に控除する事になります。

本日は専門的な話しになりましたが、税理士さんも間違い、勘違いがある事もあり絶対的な信奉は会社にとってマイナスになります。

会社の経理力を高める為に経理担当者は税理士さん任せから脱して、自分で税務署に問合せする位の積極性と税理士さんに不明点を確認する位の責任意識が望まれます。
年末の友人の会社のクリスマスパーティの時のお話です。

友人の計らいかは不明ですが、同じテーブルの隣り合わせの席に、税理士法人の担当者の方、もう片方は銀行の担当者の方と御一緒させて頂いた。

名刺交換からお酒も入り、仕事の話がざっくばらんに話が出来た。

タイトルの “建設業は苦手です” は図らずもお二方が同じ事を話された中のセリフです。

税理士法人の担当者の方は、未成工事支出金や未成工事受入金が会社で正しく拾う事も出来ず、会計ソフトの数字がぶれが大きく、悩まされている事から解りにくいので建設業のお客様は嫌いだ!となった訳です。(決算時だけ未成工事支出金と未成工事受入金を社長に拾って頂いているが、整合性、正確性に社長も税理士法人の担当者も疑問のようです)

疑問や問題点を素直に感じるこの担当者は、良い方だと思いますし今後改善も可能になる訳です。

又銀行員の方は、借入書類に必要な受注明細や資金繰り表が、同様に正しく提出されず、聞き取りで補充したりするが、稟議書が自分なりに満足できないし、上席からの質問に答えにくく、苦手です。と言って見えました。

我が意を得たりとお二方に私の仕事の必要性や具体的な改善策等お節介な話を沢山出来ました。

お二方から“勉強になりました”と賛辞は頂いたが、折角のお酒が上手くなかったのでは・・・・・

土木工事を中心に総合建設業を目指すのお客様の話

今年度も業績が良く、即時償却が可能な重機に5千万の投資をされた。決算書原案を拝見すると重機の減価償却が全額製造原価の減価償却費に入っていた。

以前に他のお客様で類似ケースがあった為、税務署に問い合わせた事があった。以下の3つのケースどれでもOk(税金は同じの為)と確認させて頂いた。

①この先生のように製造原価や販売管理費に多額であっても減価償却費に計上されるケース

②資本勘定の中に特別償却積立金を積立て剰余金の処理をする方式(企業会計上直接減額方式で取得価格の全額を費用計上すると、適正な期間損益計算を歪める為)大きな会社に多い処理

③①の形で全額償却する形を取るが、その期において特別に経費の計上をする為、特別損失に減価償却費を計上するケース

勿論②のケースが会計上の考え方としては正しいのでしょうが、①を選択した場合、決算書の見栄えが、売上総利益や営業利益が少なくなった表示になり③の方法をご提案させて頂きました。

結果、税理士さんからはこの提案は快く思って頂けなかったようですが、会社にとって売上総利益率、営業利益率、経常利益率各々5千万が多く表示される事により、利益率の向上にもなり良かったと思っています。

又私なりの考え方では、儲かった為に節税対策で重機の投資をされた訳ですのでこの方法が良い方法だと思っています。




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プロフィール
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服部 正雄
性別:
男性
自己紹介:
長年にわたる建設業での総務・経理経験を活かし、”脱どんぶり勘定”を目指す経営者様の補佐役として『株式会社アイユート』を設立し、事業に邁進する。
コンサルティングと原価プロにより、事務処理型の経理からの脱却・攻めのデータ・数値分析手法で経営改善を実現する。

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